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4月 28日
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『かつての日本の軍部官僚ほど兵士の生命を粗末に扱った軍部官僚は世界に例がないが、その体質は確実に現在の官僚に受け継がれている。
(略)
その必然的結果として、日本の官僚組織は、OBが天下りしている関連企業などと一体となって一つの自閉的共同体となっている。
自閉的共同体の特徴は、
@本来の目的(国民への奉仕)を忘れて自己目的化し、仲間のメンバーの面子と利益を守るこにしか関心がなく、特権を当然視する。
Aメンバー同士はおたがいにやさしく思いやりがあり、これほど居心地のいいところはない。
B外部の者に対しては無関心または冷酷無情
C身内の恥を外部に晒すまいとして、失敗を徹底的に隠蔽する。
Dそのため、失敗の原因は追求されず、失敗の責任者は処罰されないから、同じ失敗を無限に繰り返す。
E失敗のつけは決して引き受けず、国民など、外部の者につけを回して尻ぬぐいさせる。
Fこれらすべてのことにメンバーは無自覚で、国のため国民のために役立っているつもりである。
などであるが、かつての軍部にも現在の省庁にもこれらの特徴は間違いなく見られる。このような自閉的共同体に入れば、
誰でも共同体の外部の人たちに無関心になり、外部の人たちが飢えやエイズで死のうが、破産して死のうが平気になる。』
(「幻想に生きる親子たち」 岸田 秀:著)文春文庫